当組合はその名前の通り、福井県の県庁所在地を管内としており、
都市部ゆえに森林所有者の山に対する関心が薄い、「山離れ」が深刻な地域です。
とりわけ、以前にFRONT80で助成いただいた地域は集落に近い里山でありながら、
名をはせた戦国大名・朝倉氏の遺跡に近いことから、山林に手を加えることを良しとされない状況でした。
当組合がそういった地域で取り組みを始めたのには、ある背景がありました。
山を敬愛する地元病院の理事長から、朝倉義景ゆかりの龍興寺を擁する里山を、
福井市森林組合の整備と管理の下で再生させたい、というご意思を示していただいたのです。
6集落にもまたがる対象地域、170名に及ぶ所有者様に対し、3つの公民館の協力を得て、
20回に渡る座談会を行いました。
座談会には所有者以外の皆様にもご参加いただき、
遺跡や地域と一体となった山林整備の必要性を説明させていただきました。
境界をご存知の所有者様が一割にも満たないこの地域で、職員は一年かけて山林を歩き回り、
これが地元の皆様の信頼と協力をいただくことにつながりました。
教育委員会の立会い、遺跡近辺ゆえの工法やルートの変更など、厳しい場面がいくつもありました。
当組合ではその困難に打ち勝つべく、フォワーダやハーベスタなどの高性能林業機械を取り入れ、
効率化を図りました。この経験は現在の施工の基礎となっています。
こうして整備された山林は、今日に至るまで「龍興寺ウォーク」と銘打った散策に活用され、
地元の皆様の心身の健康増進に寄与しています。
農林中金様のお力を借りて、施業を効率化し、地元の皆様に喜んでいただける結果を出せたことで、
当組合にとっても、地域にとっても非常に意義深いものとなりました。